2015年12月5日土曜日

2015年11月29日(日)大学共同利用機関シンポジウム2015

というのに行ってきました。これです↓

・大学共同利用機関シンポジウム2015「研究者に会いに行こう!」
https://www2.kek.jp/intersympo/2015/

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国立の諸研究機関の研究者トークがほぼずっと続くイベントです。

それがおもしろくておもしろくて、結局昼から晩までずっとトークを聞いてしまいました。おかげで各研究機関のブースを回る時間がほとんどなかった。

スーパーコンピュータのノードをランダムに接続すると処理速度が上がる、だの、シアノバクテリアの体内時計タンパク質、だの、Dual fMRI、だの、ペンギンの背中にミニミニレコーダをくっつけてペンギン目線でエサ捕りの場面を見る、だの・・・。

最先端の研究を学ぶのは本当に楽しい。

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大半が理系研究者で、文系トークは3分の1だったんですが、このイベントに行った目的は、民博の吉岡乾先生のトークを聞くため。

吉岡先生は日本で唯一のBurushaski語の研究者。このblogでも、

2009年6月17日 「ブルシャスキーって何語?」の巻(1) ブルシャスキー語 

で、その著作の一部を使わせていただいております。

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周りはほとんどが理系の研究者や、理系に興味を持っている客ばかりだったようで、冒頭に置かれた文系研究者はいずれも苦戦していましたね。司会が「時間があるようですので、何か質問は?」と切り出しても、シーンと静まり返る会場。

そんな中でも吉岡先生のトークは質問が4つくらい出て、結構盛り上がっていました。

理系のトークでも、質問はいつも二人くらいの同じ人(おそらく科学雑誌とか新聞科学欄とかその辺の人?)がしていましたから、いろんな人から質問が出た吉岡先生のトークは、全体を見渡してもかなり反応がよかったトークだったんじゃないでしょうか。

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「Burushaski語」と言っても、知っている人は会場には全然いませんから、世界中の系統不明言語の分布とか語族の分布とか、一般にも伝わる内容を多く入れたのが勝因かも。

私としてはBurushaski語の話とか、Karakorum地域の言語分布とかの話題をもっと聞きたかったのですが、まあそれはブースでたくさん訊いたから十分です。

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Domaki(語)調査中の映像もおもしろかった。あんまり乗り気でないインフォーマントをなだめすかしながら語彙を訊き出す現場は、私にも少し身に覚えがあるだけに興味深い映像でした。

私が一番苦労したのはインドHimachal Pradesh州Malanaで、Kanashi語会話帳を作るため聞き取りをした時。あそこはほとんどcharas目当ての客しか相手にしませんから、charas抜きでKanashi語について訊いてばかりいる外国人など胡散臭いヤツなのです。

訊いているうちにだんだん空気が悪くなってくるし。あー思い出す。まあ、私の話はいいや。

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ブースでも吉岡先生には、Hunza-Nagarより北にもBurushaski語話者がいる、とか、Domakiの「ki」はBurushaskiの「(s)ki」と同じ、とか、Shin人がGilgitに移って来た時期はやっぱりよくわからない、とか、インド亜大陸からその周辺の能格言語の分布とか、面白いお話をたくさん教えていただき、目からウロコが落ちる思いでした。

そんな話を聞いていると、やっぱりチベット/ヒマラヤ周辺へ行きたくなってしまうわけですが、金も暇もない、という状況が変わるはずもなく、しばらくはここで書いたりしてウサを晴らすしかなさそうです。

まあでも、こないだの外語大イベントもおもしろかったし、今後はもう少しこういうイベントにも顔を出してみようかと思いましたね。

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