2016年6月22日水曜日

ンガッパ・イェシェ・ドルジェ・リンポチェの悪霊祓い(4)Tucci先生によるシェードゥルの記述

前述の

・Giuseppe Tucci, Geoffrey Samuels(tr.) (1988) The Religion of Tibet. xii+340pp. University of California Press, Berkeley.

には、伝染病が蔓延した際にはチューパ གཅོད་པ་ gcod pa=ンガッパがシェードゥルの儀式を執り行う、とあります。

残念ながら、シェードゥルの実際については記述がありませんが、伝染病をもたらす原因をシェーによるものと考え、これを撃退する儀式を執り行う、ということでしょう。

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伝染病時のチューパの役割として他にあげられているのは、

・伝染病で死亡した遺体を墓場まで運搬する(チューパは感染しないと信じられている)

・メシャク མེ་ཞགས་ me zhags (火の投げ縄)という儀式を執り行う。呪文を唱えつつ、ダマルー、カンリンを奏でながら踊る。最後に黒い穀物や黒胡麻など(伝染病をもたらす悪霊を象徴しているものと思われる)を練り込んだツァンパを思いっきり焚き火に投げ込む。この時に燃え上がる炎や飛び散る火の粉が、人々の頭上に振りかかると、伝染病にかからないと信じられています。これが伝染病退散の儀式。

先程のイェシェ・ドルジェ師の火の儀式と関連がありそうです。火が魔除けや浄めの働きをするわけで、ゾロアスター教やバラモン教/ヒンドゥ教Agni अग्नि(火の神)信仰に起源を求めることができるかもしれません。

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