2017年1月15日日曜日

早稲田大学 會津八一記念博物館 「チベット仏教の美術」展

を見て来ました。



会期 : 2016年12月8日(木)~2017年1月31日(火)
会場 : 會津八一記念博物館 2F 常設展示室
時間 : 10:00~17:00(入場は16:30まで)
閉館日 : 日曜・祝日
入館料 : 無料

・早稲田大学 > 早稲田大学 會津八一記念博物館 > ニュース > 特集展示 チベット仏教の美術(Tue, 06 Dec 2016)
https://www.waseda.jp/culture/aizu-museum/news/2016/12/06/1486/

・早稲田大学 > News ニュース > 「特集展示 チベット仏教の美術」展が開催中です(Posted Tue, 10 Jan 2017)
https://www.waseda.jp/top/news/47684

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私はGoogle Newsでチベット関係のニュースを表示させているのですが、今年になってからそのトップに、この展覧会のニュースが出るようになった。

全然知らなかったのでありがたい。というわけで、時間が取れる今のうちに行ってきたわけです。会期も今月いっぱいだし。

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早稲田大学に行ったのもだいぶ久しぶり。

南門通りを歩いて、「そういえば、カワチェンは昔ここにあったんだよなあ」などと思いながら。

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會津八一記念博物館は南門からすぐ。会場は2階、いろんな展示物と一緒。ケース4つとささやかな展示。

展示物リストは以下のとおり。


https://www.waseda.jp/culture/aizu-museum/assets/uploads/2016/12/bf02a842387416fed5a067dfbcd44cec.pdf

ツァツァ ཚ་ཚ་ tsha tsha(日干しあるいは素焼きの粘土製仏像小プレート)、陶仏、銅仏。いずれも10cm程度の小さいもの。

これは美術史家(でもある)會津八一先生が個人的に集めたものと、陸軍将校であった服部和彦氏が中国で集めたものだという(國學院大學にもコレクションがある)。年代は17~19世紀。

この時代になると、図像のスタイルはもうガチガチに固定されてしまい、仏像や仏画を見ても年代差や地域差はほとんどなくなります。ですから、見ただけだとあまり細かい年代や場所までは特定できなくなります。

「康煕帝のために作った」と銘があるものを含んでいるので、おそらくチベット本土の作ではなく、北京周辺で作られたものがほとんどなのではないだろうか。特に陶製の仏像というものは、チベットではまず見られないものだし。

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なぜか、やたらとツェパメ ཚེ་དཔག་མེད་ tshe dpag med 無量寿菩薩が多かったなあ。

「マハーカーラ(大黒天)立像」というものが珍しかった。まず木造であるのが珍しい。そして経典を抱えたグルキ・ゴンポ གུར་གྱི་མགོན་པོ་ gur gyi mgon poの姿、これもちょっと珍しい。これはサキャパの守護尊である。

チベット仏教の図像からは少し逸脱している感もあり、おもしろい像であった。

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尊格比定には田中公明先生が協力しているので、これはもう確実です。

ひとつ気になるのは、こういった仏教図像を紹介する本や展覧会では、いつまでたっても漢名とサンスクリット名だけの表記で、チベット語での表記がない。田中先生の近著でさえそう。

チベット文字フォントもだいぶ扱いやすくなっているし、そろそろチベット語・チベット文字での表記もしてほしい、と思う。

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この展覧会は会場の一部で、他にも中国の銅鏡などの文物やアイヌの文物など(會津八一コレクション)が展示されています。無料だし、気軽に見て回れるので、早稲田近辺にお寄りの際はぜひ行ってみてください。

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(追記)@2017/01/17

前掲の

https://www.waseda.jp/top/news/47684

に、4つのケース全部の写真があります。これでだいたいどういう展示かイメージはつかめるでしょう。

そういえば、3番めのケースの右奥かな、キュン ཁྱུང་ khyung ガルーダ(金翅鳥)の小像がちょっと珍しかったな。かわいらしいし。

3 件のコメント:

  1. こんばんは。
    マハーカーラ→足下→ガネーシャということで、
    マハーカーラは気になるところなんですが、
    あの尊容のマハーカーラは、観たことがありませんでした。
    ただし、私はチベットには行ったことないんですけどね。

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    1. コメントありがとうございます。グルキ・ゴンポはサキャパの寺なら必ず祀られていますから、「サキャパの寺だ」と意識して見れば、見つけるのはそうむずかしくないです。

      むしろ、何も情報がない寺に行って、グルキ・ゴンポが祀られているのを見て、「ここはサキャパかあ」と宗派がわかるケースも多いです。

      グゲのピャンにある石窟ゴンカンは、それでサキャパの寺であることがわかりました。

      グルキ・ゴンポは、リンチェン・サンポがインドから将来した尊格ですね。

      詳しくは↓をどうぞ。

      2016年2月20日土曜日 ロツァワ・リンチェン・サンポ
      http://stod-phyogs.blogspot.jp/2016/02/blog-post_20.html

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    2. ありがとうございます。
      「グルキ・ゴンポはサキャパ」なんですね。
      サキャパのゴンパはラダックのマトしか参拝したことがない私です。

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